１ 角膜での炎症・創傷治癒におけるTRPイオンチャネルの役割

TRP（transient receptor potential）チャネルは1989年にショウジョウバエの光受容応答変異株の原因遺伝子として同定されて以来1），研究が進み，Ca2＋透過性の高い非選択性陽イオンチャネルとして多彩な細胞制御機能を有することが明らかになった。David Julius教授らの2021年ノーベル生理学・医学賞の受賞にあるようにTRPチャネルの生体反応での重要性が注目を浴びており2），今後，さまざまな診療領域でTRPチャネルを標的とした治療戦略に関する研究がこれまで以上に活発になると思われる。