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第5土曜特集 小児医療の最先端
臨床編
小児肝移植の進歩
Progress of pediatric liver transplantation
笠原 群生
1
Mureo KASAHARA
1
1国立成育医療研究センター臓器移植センターセンター長/病院長
キーワード:
肝移植
,
脳死肝移植
,
分割肝移植
,
肝細胞移植
Keyword:
肝移植
,
脳死肝移植
,
分割肝移植
,
肝細胞移植
pp.485-491
発行日 2022年7月30日
Published Date 2022/7/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28205485
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わが国における小児肝移植は,脳死移植が進まない状況下で近親者をドナーにした生体肝移植を主体に発展してきた.生体肝移植には脳死肝移植と違い,大きく2つの利点がある.第1に健常成人からの臓器提供のため,冷保存時間の長い脳死臓器よりも相対的にviabilityの良好な臓器を移植できること,第2はレシピエントの状態に応じて,至適時期に待機手術が可能なことである.昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延に伴い,世界中で脳死臓器提供は減少傾向にあり,欧米でもドナープール拡大策として小児生体肝移植が注目されている.少ない脳死臓器提供に鑑み,分割肝移植による脳死臓器数の増加,machine perfusionによるmarginal graftの使用などが試みられている.また安全に新生児・乳児肝不全患者を救命するため,減量外側区域グラフトを使用した肝移植,ES細胞(胚性幹細胞)を用いた肝細胞移植医療が実施されている.また,移植後長期経過で移植肝臓の潜在的線維化の発症が報告されており,その病態解明が待たれる.
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