Japanese
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特集 生体肝移植と画像―12年の成果と21世紀の展望
序/生体肝移植―12年の成果と将来の展望
Advancement and Perspective in Living Donor Liver Transplantation
幕内 雅敏
1
Masatoshi Makuuchi
1
1東京大学大学院医学系研究科人工臓器移植外科
1Artificial Organ and Transplantation Surgery Division, University of Tokyo
キーワード:
生体部分肝移植
,
分割肝移植
,
脳死肝移植
Keyword:
生体部分肝移植
,
分割肝移植
,
脳死肝移植
pp.151-152
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900385
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生体肝移植の動向
生体部分肝移植は1989年ブラジルのRaiaら1)によって初めて行われた.初の成功例はオーストラリアのStrongらによって行われた症例である2).当初欧米においては,ドナー不足の問題が特に深刻であったため,小児患者に対する治療として始まった.本邦では島根医科大学のNagasueら3)により,1989年11月に開始された.本邦でも,生体肝移植は脳死肝移植実施までの緊急避難的手段と考えられていた.
それから現在まで約12年が経過し,このような当初の生体部分肝移植の位置づけは大きく変化した.欧米では,In situ splittingが導入されて以来,分割肝移植の成績は安定した.脳死ドナーの約20%に分割肝移植を行えば,もはや小児に対する生体肝移植の必要はない.しかし,脳死グラフト全例を分割しても,成人患者に対するグラフトは,まだ不足している4).すなわち,marginalドナーが分割肝で使えないこと,小児患者のために2割の分割肝が必要なことを考え併せると,米国ではさらに5,000人以上のドナーが必要である.したがって,脳死肝移植と共に,成人に対する生体肝移植を進めていくことが欧米の移植医の関心事となっている.United Networkfor Organ Sharing:UNOSのデータによると,アメリカでは,1998年には72例,1999年で218例の生体肝移植が行われている.
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