COVID-19と1型糖尿病

COVID-19 and type 1 diabetes

　1型糖尿病患者では新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の重症化および死亡リスクが高いことが報告されており，若年者でも注意が必要である．重症化・死亡と関連する因子として急性合併症の糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）および慢性合併症の細小血管・大血管合併症があり，適切な血糖コントロールでこれらの合併症を予防することが重要である．また，わが国で使用されているCOVID-19の治療薬は糖尿病患者を含んだ研究で有効性が確かめられている．ワクチンの接種に関しては非糖尿病者と同等の副反応で，同等の抗体価が期待できるため，接種は推奨されると考えられる．パンデミックによる生活様式の変容は1型糖尿病患者の血糖コントロールへ影響を及ぼしたが，改善・増悪ともに報告されており，患者ごとの生活様式の変容に合わせて適切な対応をとることが重要である．ワクチンやCOVID-19に関連した新規の1型糖尿病の発症が疫学的に示唆されているが，いまだ不明な点が多くさらなる知見が必要である．