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第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
心不全とその合併疾患における慢性炎症の寄与
Heart failure and chronic inflammation
藤生 克仁
1
Katsuhito FUJIU
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
マクロファージ
,
クローン性造血(CHIP)
,
左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)
Keyword:
マクロファージ
,
クローン性造血(CHIP)
,
左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)
pp.26-31
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820126
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心不全は心臓が悪くなるだけでなく,全身が悪くなる症候群とされており,加齢のほかに慢性腎臓病(CKD),慢性閉塞性肺疾患(COPD),糖尿病,クローン性造血(CHIP)などの多くの併存疾患を合併することが知られている.特に現時点のアンメットメディカルニーズである “左室駆出率が保持された心不全”(HFpEF)は,多くの併存疾患が先行し心不全を発症する.その機序として,心不全および併存疾患はすべて炎症の存在を共通基盤としていることがあげられる.HFpEFの発生機序は,複数の併存疾患が存在し全身性の炎症状態が存在しているうえに,心臓に炎症が波及して発症するモデルが考えられている.心不全と併存疾患の全体を考慮するには,炎症の存在に加えて代謝リモデリングも重要であり,実際には両者が相乗的になり病態を形成する.本稿ではそのうち,炎症に関して焦点を絞って解説を行う.炎症の発症には自然免疫系細胞と獲得免疫系細胞の両者が関与しており,近年では免疫系細胞の起源である造血幹細胞の遺伝子変異が炎症を惹起することが知られている.心不全に対する抗炎症薬の効果については議論があったが,最近やはり炎症が心不全の原因となっているエビデンスが蓄積されてきており,注目されている.
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