Japanese
English
第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
病原性免疫記憶による慢性炎症性肺疾患の病態形成機構
Molecular and cellular mechanism of chronic inflammatory lung disease mediated by pathogenic immunological memory
柳生 洋行
1,3
,
平原 潔
1
,
中山 俊憲
2
Hiroyuki YAGYU
1,3
,
Kiyoshi HIRAHARA
1
,
Toshinori NAKAYAMA
2
1千葉大学大学院医学研究院免疫発生学
2千葉大学学長
3横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
キーワード:
免疫記憶
,
ヘルパーT細胞
,
慢性気道炎症
,
線維化
Keyword:
免疫記憶
,
ヘルパーT細胞
,
慢性気道炎症
,
線維化
pp.19-25
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820119
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気道や肺組織における慢性炎症は,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD),間質性肺疾患(ILD)などを代表とする多くの呼吸器疾患の病態形成に関わる.慢性炎症の発症には環境因子と遺伝的素因が重要であることが知られているが,病態形成に関わる分子機構はいまだ不明点が多い.持続する慢性炎症は肺組織の病的線維化につながり,臨床的に大きな問題となる.2型免疫応答は寄生虫感染時や組織修復において生体保護的に働くが,その過剰な活性化は慢性炎症や病的線維化につながることがわかってきた.本稿ではまず,有害な外的環境因子を感知するセンサーとしての気道上皮細胞の役割と,病原性2型免疫応答を介した慢性炎症や病的線維化の誘導機構について解説する.また本来,生体防御に役立つはずの免疫記憶が生体にとって有害な反応を起こしてしまう,病原性免疫記憶による慢性気道炎症や組織病的線維化の病態形成機構について,近年明らかになった知見を紹介する.
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