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特集 ミトコンドリア病――病態解明を基盤とした治療薬開発
ミトコンドリア標的型核酸ナノ医薬品の創製を目指して
Toward the development of mitochondria-targeted nucleic acid nanomedicines
山田 勇磨
1
,
原島 秀吉
1
Yuma YAMADA
1
,
Hideyoshi HARASHIMA
1
1北海道大学大学院薬学研究院薬剤分子設計学研究室
キーワード:
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)
,
RNA送達療法
,
ドラッグデリバリーシステム(DDS)
Keyword:
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)
,
RNA送達療法
,
ドラッグデリバリーシステム(DDS)
pp.1140-1144
発行日 2022年6月18日
Published Date 2022/6/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281121140
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンとしてmessenger RNA(mRNA)含有脂質ナノ粒子(LNP)が承認され,核酸搭載ナノカプセルの臨床有用性が認められ,本領域の研究分野が一気に加速した.mRNA含有LNPワクチンの開発が迅速になされたのは,規制の調整だけではなく,これまでに多くの基礎研究者によって蓄積されてきた核酸送達研究の功績が非常に大きい.細胞のなかで核酸が機能する場としては核,細胞質以外に独自のゲノム装置を有するミトコンドリアがあげられる.ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の変異・欠損が原因となるミトコンドリア病は難病であり1,2),現在は対症療法が主流で,根本治療として遺伝子治療の実現が期待されている.この治療を実現するために,ミトコンドリアへ遺伝子・核酸などを送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)が必要となるが,核,細胞質を標的とした研究と比較してその報告は少ない.本稿では,ミトコンドリアを標的とした遺伝子治療戦略に関しての概説と,ミトコンドリアを標的としたRNA送達治療の検証を試みた研究を紹介する.また,筆者らが創製したミトコンドリア標的型DDS “MITO-Porter” を基盤とした “ミトコンドリアを標的とするRNA送達療法” の成果も紹介する.
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