特集 心筋性状・機能診断を考える-病理と画像が意味するもの-
治す ミトコンドリアDDS ミトコンドリアをターゲットにした近未来の治療法
山田 勇磨
1
1北海道大学 大学院薬学研究院薬剤分子設計学研究室
キーワード:
リポソーム
,
Antisense RNA
,
遺伝学的治療
,
肝臓疾患
,
再灌流傷害
,
疾患モデル(動物)
,
ドラッグデリバリーシステム
,
ミトコンドリア
,
Ubidecarenone
,
ミトコンドリア遺伝子
,
アンチセンス療法
,
遺伝子デリバリー
,
ミトコンドリア心筋症
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Liver Diseases
,
Liposomes
,
Mitochondria
,
Genetic Therapy
,
Reperfusion Injury
,
RNA, Antisense
,
Drug Delivery Systems
,
Genes, Mitochondrial
,
Coenzyme Q10
pp.981-987
発行日 2017年9月9日
Published Date 2017/9/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017373899
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心筋組織は人体のなかで最もミトコンドリアを多く含有しており,ミトコンドリア呼吸鎖酵素の障害により発症した心筋症の有効な治療法は存在せず,ミトコンドリアを治療する根本治療が期待されている。本治療実現のためには,ミトコンドリアへ目的分子を送達するdrug delivery system(DDS)が必要不可欠である。これまでに,ミトコンドリアを標的としたDDSがいくつか報告されてきたが,送達分子の物性やサイズを制限するため治療用外来蛋白質や核酸などのミトコンドリア送達は困難であった。筆者らは,新規ミトコンドリア標的型DDSとして,ミトコンドリアと膜融合可能な脂質二重膜小胞(MITO-Porter)を考案し,細胞ミトコンドリア内部への高分子(蛋白質,核酸など)送達に成功している。本誌読者は,循環器疾患治療のためにミトコンドリアを標的とする意義について十分にご理解されていると思うので,筆者はDDS研究者の立場から,ミトコンドリアDDS研究の魅力を伝えること,さらに本DDSの"治療・研究"ツールとしての有用性を提示することに主眼を置く。本稿では,ミトコンドリア標的型DDS・MITO-Porterの開発,本DDSを用いたミトコンドリア遺伝子発現・機能制御,ミトコンドリアを標的とした病態モデルにおける治療効果の検証に関する研究を中心に紹介する。また,ミトコンドリア標的型DDSが「循環器疾患」の治療・研究にどのように貢献できるのかも含め議論する。
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