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第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
病態研究
1型糖尿病とグルカゴン分泌調節異常
Abnormality of glucagon secretion in type 1 diabetes
堀江 一郎
1
,
阿比留 教生
2
Ichiro HORIE
1
,
Norio ABIRU
2
1長崎大学病院内分泌・代謝内科(第一内科)
2医療法人緑風会みどりクリニック
キーワード:
グルカゴン
,
α細胞
,
1型糖尿病
Keyword:
グルカゴン
,
α細胞
,
1型糖尿病
pp.717-722
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106717
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1型糖尿病は,自己免疫反応により膵ランゲルハンス島(以下,ラ島)のβ細胞が特異的に破壊される疾患であり,残存β細胞量が20~30%前後まで減少し,インスリン分泌不全に陥ることで臨床的な糖尿病発症に至ると考えられている.一方で,ラ島は複数の細胞で構成され,細胞間コミュニケーションネットワークを通じて密接に関連しており,近年,さまざまな糖代謝異常の病態にα細胞機能不全が深く関与していることが報告されている.1型糖尿病においても,疾患の進行に伴ってβ細胞が失われるとα細胞機能不全が誘発され,食後のグルカゴン過剰分泌や低血糖時のグルカゴン分泌不全などをきたすことが明らかとなっており,これらは著明な血糖変動や重症低血糖など,1型糖尿病の診療上の問題と深く関連していると考えられる.こうしたunmet needsの解決のためには,α細胞に関する病態の解明を進め,β細胞中心の治療から,今後はα細胞・β細胞機能の包括的な正常化を目指した治療展開が重要と考える.
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