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連載 いま知っておきたい最新の臨床検査――身近な疾患を先端技術で診断・Vol.5
糖尿病の病態診断マーカーとしてのグルカゴン測定
Accurate glucagon measurement as a pathophysiological marker for diabetes
北村 忠弘
1
Tadahiro KITAMURA
1
1群馬大学生体調節研究所・代謝シグナル解析分野
キーワード:
グルカゴン
,
α細胞
,
糖尿病
,
サンドイッチELISA
Keyword:
グルカゴン
,
α細胞
,
糖尿病
,
サンドイッチELISA
pp.494-503
発行日 2021年5月8日
Published Date 2021/5/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27706494
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◎最近のグルカゴン抑制作用を併せ持つ糖尿病薬の登場により,グルカゴンが再注目されている.しかしながら,グルカゴンの測定法には特異性の問題があり,正確に測定するにはLC-MS/MSやサンドイッチELISAといった新しい測定法が必要である.2型糖尿病患者(T2DM)と健常人(CONT)の血中グルカゴン濃度をサンドイッチELISAで測定した結果,以下の3点で有意差を認めた.①T2DMはCONTより空腹時グルカゴンが高い.②T2DMは糖負荷後30分のグルカゴンが低下しない.③T2DMは食事負荷後30分のグルカゴンが顕著に上昇する.さらに,食後30分のグルカゴン値の変化は耐糖能と相関するが,インスリン値やインクレチン値とは相関しない.サンドイッチELISAによるグルカゴン測定が糖尿病の病態診断のための新たな独立したマーカーとして,臨床検査に応用されることが期待される.
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