増大号 糖尿病のすべて。 検査データに基づいた診療のポイント
3章 糖尿病診療における臨床検査
グルカゴン
北村 忠弘
1
1群馬大学生体調節研究所・代謝シグナル解析分野
キーワード:
グルカゴン
,
サンドイッチELISA
,
2型糖尿病
Keyword:
グルカゴン
,
サンドイッチELISA
,
2型糖尿病
pp.178-182
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540020178
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
グルカゴンはインスリンが発見された2年後の1923年に血糖上昇物質として発見されたホルモンであり,これまでインスリンの拮抗ホルモンとして常に脇役的存在であった.しかしながら,DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬やGLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬といったグルカゴン分泌抑制作用を併せもつ糖尿病治療薬が臨床応用されたことによってグルカゴンに対する注目度は一気に増した.また,グルカゴンを分泌する膵臓のα細胞が欠損したマウスやグルカゴン受容体欠損マウスにストレプトゾトシンを投与してインスリンを分泌するβ細胞を破壊しても,ほとんど血糖値は上がらなかった事実からも血糖調節におけるグルカゴンの重要性がさらに増した.一方,長年グルカゴン研究が進まなかった理由は血中グルカゴン濃度の正確な測定法がなかったからである.そのために糖尿病の病態におけるグルカゴン異常についても統一された見解はなく,糖尿病の日常診療において血中グルカゴン濃度の測定はほとんど行われてこなかった.
本稿では従来のグルカゴン測定法の問題点と,現在,臨床検査に採用されているMercodiaサンドイッチELISA(enzyme-linked immuno sorbent assay)を用いた臨床試験の結果を説明する.最後に,最近,筆者らが開発に成功した最も正確な新規サンドイッチELISAについて紹介する.この新規サンドイッチELISAが糖尿病の病態診断と,それを基にした糖尿病の個別化医療に貢献することを期待している.

Copyright © 2026, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

