新型コロナウイルスを創る

Generation of recombinant SARS-CoV-2

　コロナウイルスのリバースジェネティクス法はすでに開発されていたが，複雑かつ高度な遺伝子操作技術と数カ月もの期間が必要であった．しかし，次々に現れる変異ウイルスに対応し，かつ病原性の解明や治療法・予防法の開発を行うためには，迅速かつ簡便な感染性ウイルスを作出する技術の開発が必要である．今回，筆者らはcircular polymerase extension reaction（CPER）法というPCRを活用した簡便な手法で，感染性組換え新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）を作製する技術を開発した．より多くの研究者が迅速・簡便にSARS-CoV-2を合成できるようになることで，人工的に遺伝子改変したウイルスを用いた病原性解析やワクチン・抗ウイルス薬の開発，また，次々と現れる変異に対するこれまで以上にすばやい解析が可能となり，新型コロナウイルス感染症（COVID-19）克服に向けた研究が飛躍的に進むことが期待される．