Japanese
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特集 ウイルスを創る,ウイルスを視る
はじめに
Introduction
野田 岳志
1
Takeshi NODA
1
1京都大学ウイルス・再生医科学研究所微細構造ウイルス学分野
pp.899-899
発行日 2022年2月26日
Published Date 2022/2/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28009899
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- Abstract 文献概要
有史以来,われわれは天然痘や小児麻痺など,さまざまな流行性の感染症に脅かされてきたが,その小さな病原体の正体が明らかになったのはわずか130年前にすぎない.1932年にErnst Ruskaが開発した透過型電子顕微鏡により顕微鏡の新時代の幕開けとなり,1950年代までにはウイルス粒子の多様な形態が明らかになったが,われわれはウイルスのすべての姿を見たわけではない.ウイルスは限られた数,少ないものではわずか3~4種類のウイルスタンパク質でウイルス粒子を形成するが,これらが感染細胞内でどのような相互作用を介して規則正しく集合し,それぞれのウイルスに特徴的な形態を作り上げ,感染/増殖や病態発現というウイルス特有の機能を発揮する巨大分子複合体となるのか,いまだに多くの謎に包まれている.
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