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近年,患者の在宅治療によるQOL(quality of life)の改善や病床の効率的稼動など種々の要因に基づいて,がん化学療法の外来への移行が行われるようになってきた.特にわが国においては,2003年4月から全国特定機能病院の82施設に導入された包括医療評価制度diagnosis procedure combination(以下,DPC)が,がん化学療法の外来移行への大きな誘因となった.DPCは米国におけるDrug Related Group/Prospective Payment System(DRG/PPS)の日本版として導入されたが,DRG/PPSが主に米国の保険会社の要求によって成立した一疾患に月いくらの「まるめ請求」であるのに対して,DPCは疾患の組み合わせ(combination)について入院期間につき請求額を1日いくらと定め,そのうえで施設ごとに係数を乗ずる方式である.現在のところDPCの適応は入院治療に限られており,外来は従来どおり出来高払い請求であることから抗がん剤外来投与が広く行われるようになった.
FOLFOX4(FOLate+Fluorouracil+OXaliplatin)は現在,大腸がんに対する標準的なレジメンである.図1は5-fluorouracil(5-FU)+leucovorin(LV)とFOLFOX4レジメンを入院(DPC)と外来で比較した請求額である1).入院では5-FU/LVで3,044円/日,FOLFOX4で88,140円/日の請求となるため,通常の月4日あるいは6日入院では外来の出来高収入を上回ることはできず,入院FOLFOX4で出来高収入を上回るには月8日の入院が必要となる.これでは患者に日常生活に著しい負担をかけることになり,QOLの改善を期待することはできない.すなわち,FOLFOX4はDPC下では外来を原則にせざるを得ず,当院でも初回ポート挿入時に入院で1回目の投与を行い,以降は外来治療へ移行して約半数が自己抜針,残りの半数は外来で抜針を行っている.外来化学療法は患者のQOLのみならず病院の収益上も大きな意義を有しており,病院の収益向上が患者サービス向上の基本であることから,病院収益・患者サービスの向上の面からも重要な意味がある.
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