Japanese
English
特集 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの新展開――“私らしく生きる” を次世代に
妊娠・出産における自己決定
Self-determination on pregnancy and childbirth
笹川 恵美
1
Emi TAHARA-SASAGAWA
1
1東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学分野
キーワード:
妊娠
,
出産
,
リプロダクティブ・ヘルス
,
自己決定
,
人間的出産
Keyword:
妊娠
,
出産
,
リプロダクティブ・ヘルス
,
自己決定
,
人間的出産
pp.769-771
発行日 2022年5月14日
Published Date 2022/5/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28107769
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
妊娠・出産は自己決定の連続であるが,自らの意思表示が不可能な胎児の存在を考慮して行われることが特徴的である.妊娠・出産の自己決定に関する歴史的な転機は,1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)における,リプロダクティブ・ヘルス/ライツの提唱であるが,分娩期のケアについて女性の自己決定の重要性が強調されたのは,1985年の「出産における適正な医療技術のためのWHO会議」にまで遡る.この会議で出された勧告は,WHO正常出産ガイドラインの基となり,医療者が女性の自己決定を支援することを科学的根拠に基づいて推奨している.中米エルサルバドルで実施中の「科学的根拠に基づいた人間的出産プロジェクト」は,女性の尊厳が無視された “非人間的” な出産現場を,尊厳や主体性を尊重した “人間的” な現場にしようとする取り組みである.プロジェクトは,限られた医療人材や医療資源の出産環境においても,女性の自己決定の支援は可能であることを示している.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.