Japanese
English
第1土曜特集 ワクチン設計のサイエンス
各論
【Bacterial vector】
BCGベクターワクチン設計のサイエンス
Science of BCG vector vaccine design
竹石 惇樹
1
,
長田 秀和
1
,
松本 壮吉
1
Atsuki TAKEISHI
1
,
Hidekazu OSADA
1
,
Sohkichi MATSUMOTO
1
1新潟大学医歯学総合研究科細菌学分野
キーワード:
BCGベクターワクチン
,
組換えBCG(rBCG)
,
Th1
Keyword:
BCGベクターワクチン
,
組換えBCG(rBCG)
,
Th1
pp.1041-1046
発行日 2021年12月4日
Published Date 2021/12/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279101041
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
BCGはウシ型結核菌の弱毒株で,結核に対する生ワクチンである.一方で,BCGは表在性膀胱癌の再発予防などに用いられるように,非特異的な効果を発揮する.例として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下においては,BCG接種国でのCOVID-19の罹患率が有意に低いことや,BCG接種が結核以外の肺感染症の罹患率を有意に低下させたことが報告されている.BCGは接種後も生体内で生存して抗原を持続的に産生し,主にTh1型の細胞性免疫応答を長期にわたって誘導する.接種部位では,菌体の構成成分がパターン認識受容体(PRRs)を介して免疫および炎症反応を惹起する.さらに,BCGを認識した抗原提示細胞はリンパ節や脾臓へ移行してサイトカインを分泌し,CD4陽性およびCD8陽性T細胞を活性化させる.これらのT細胞はIFN-γを産生し,結核菌に対抗するマクロファージを活性化する.このような効果の持続性と免疫賦活性を利用して,BCGを外来抗原のベクターとして用いることが可能である.それには高発現のプロモーターを用いて,コドン最適化された外来抗原遺伝子をBCG内で転写・翻訳して菌体外に分泌させることが肝要と思われる.組換えに用いるベクターやDNA断片を作製した後,エレクトロポレーションを行い,外来抗原DNAを挿入することで組換えBCG(rBCG)ワクチンを作製できる.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.