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第1土曜特集 ワクチン設計のサイエンス
各論
【Viral vector】
センダイウイルスベクターワクチン設計のサイエンス
Science of Sendai virus vector vaccine design
草野 好司
1
,
島崎 竜太郎
2
,
森 豊隆
3
Kohji KUSANO
1
,
Ryutaro SHIMAZAKI
2
,
Toyotaka MORI
3
1株式会社IDファーマ取締役GMP/CPCセンター長
2同取締役副社長
3同代表取締役社長
キーワード:
生ワクチン
,
抗原提示細胞
,
B細胞
,
細胞傷害性T細胞(CTL)
,
遺伝子組換え型ワクチン
,
アジュバント効果
,
ワクチン抗原局在化
,
粘膜免疫
Keyword:
生ワクチン
,
抗原提示細胞
,
B細胞
,
細胞傷害性T細胞(CTL)
,
遺伝子組換え型ワクチン
,
アジュバント効果
,
ワクチン抗原局在化
,
粘膜免疫
pp.1015-1020
発行日 2021年12月4日
Published Date 2021/12/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279101015
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センダイウイルス(SeV)ベクターは,SeVエンベロープと対象細胞の膜との接触点で起こる膜融合によってベクターゲノムが侵入するので,人工脂質二重膜を必要としない.この特性は,SeVベクターをワクチンとして利用する際にきわめて有効であり,SeVベクターだけを接種しても細胞内に侵入することができ,そこでワクチン抗原遺伝子が発現される.また,SeVベクター自身に自然免疫活性化を含むアジュバント効果があるので,化学アジュバントを併用しなくても強い免疫原性を示す.さらに,SeVベクターワクチンは細胞性免疫と液性免疫のいずれかの誘導を狙って,ワクチン抗原を細胞内部,またはSeVエンベロープ膜表面や宿主細胞膜表面に繫留局在するよう設計することができる.細胞内部に局在する設計では,宿主細胞内のMHCクラスⅠタンパク質が,ワクチン抗原由来ペプチドを細胞傷害性T細胞(CTL)に提示,それが病原体感染細胞を攻撃することが期待される.また,ウイルスエンベロープ膜表面や宿主細胞膜表面に繋留局在する設計では,SeVエンベロープ膜表面または宿主細胞膜表面に繋留局在されたワクチン抗原タンパク質が抗原提示細胞に貪食され,MHCクラスⅡタンパク質がワクチン抗原由来ペプチドをヘルパーT細胞に提示し,抗体産生B細胞とCTLを誘導することが期待される.
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