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第1土曜特集 ワクチン設計のサイエンス
各論
【Viral vector】
麻疹ウイルスベクターワクチン
Measles virus vector vaccines
田原 舞乃
1
,
竹田 誠
1
Maino TAHARA
1
,
Makoto TAKEDA
1
1国立感染症研究所ウイルス第3部
キーワード:
麻疹ウイルス(MeV)
,
ワクチン
,
ベクター
Keyword:
麻疹ウイルス(MeV)
,
ワクチン
,
ベクター
pp.1010-1014
発行日 2021年12月4日
Published Date 2021/12/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279101010
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麻疹ウイルス(MeV)ワクチンは,人類の歴史上,最も成功したワクチンのひとつである.MeVは一本鎖マイナス鎖RNAウイルスで,外来抗原を発現するベクターとしての能力があり,広く使われている.現在までに100種類以上の抗原がMeVによって発現され,20種類以上の組換えMeV(rMeV)ワクチンが動物実験で検証され,組み込んだ感染症に対して非常に有効であることが示されている.rMeVワクチンは筋肉内,皮下,腹腔内,鼻腔内などの一般的な接種方法によって,コットンラット,マウス,および非ヒト霊長類において高レベルの免疫反応を誘導するのに有効である.現在,ジカウイルス(ZIKV),ラッサウイルス(LASV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対するrMeVワクチンを評価する第Ⅰ相臨床試験が行われている.さらに第Ⅱ相臨床試験では,rMeVワクチンを用いたチクングニアウイルス(CHIKV)ワクチンが,既存の抗MeV免疫がある場合でも,ヒトのCHIKV感染に対して非常に有効であることが示されている.また,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSタンパク質を発現するrMeVがワクチンとしても有効であるという知見が動物実験で得られている.
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