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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【基礎】
肝線維化進行の機序
Mechanism of liver fibrosis
池永 寛子
1
,
河田 則文
1
Hiroko IKENAGA
1
,
Norifumi KAWADA
1
1大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学
キーワード:
肝線維化
,
肝星細胞
,
筋線維芽細胞
,
細胞外マトリックス
,
コラーゲン
Keyword:
肝線維化
,
肝星細胞
,
筋線維芽細胞
,
細胞外マトリックス
,
コラーゲン
pp.770-773
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908770
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肝線維化は肝内での慢性的な細胞障害の修復過程で,肝臓内に過剰な結合組織が蓄積する病態であり,進行すると肝硬変へと至る.肝線維化の主な分子細胞学的機序は,活性化した肝星細胞(HSC)や筋線維芽細胞(MFB)がⅠ型コラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)物質を過剰産生することによる.肝線維化の病態生理に関する研究はこの数十年で飛躍的な進歩を遂げ,詳細なHSC・MFBの活性化因子や,周辺細胞〔肝細胞やマクロファージなどの炎症細胞,類洞内皮細胞(LSEC)など〕との相互作用,線維化改善因子の抑制など,肝線維化の多彩な機序が明らかとなってきた.残念ながら,現時点で肝線維化の有効な治療法(肝硬変治療薬)は開発に至っていないが,近年,線維化誘導因子をターゲットとした治療薬の開発・臨床試験も始まっている.本稿では,肝線維化研究の現状について概説する.
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