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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【基礎】
幹細胞・オルガノイドを用いた肝線維化研究の最前線
Frontiers of liver fibrosis research using stem cells and organoids
仁尾 泰徳
1
,
大堀 桃子
1
,
武部 貴則
1,2,3,4
Yasunori NIO
1
,
Momoko OHORI
1
,
Takanori TAKEBE
1,2,3,4
1武田薬品工業株式会社T-CiRA Discovery
2東京医科歯科大学統合研究機構先端医歯工学創成研究部門
3シンシナティ小児病院消化器部門・発生生物学部門幹細胞オルガノイド医学研究センター
4シンシナティ大学小児科
キーワード:
肝線維化
,
iPS細胞
,
肝星細胞
,
ビタミンA
,
肝オルガノイド
Keyword:
肝線維化
,
iPS細胞
,
肝星細胞
,
ビタミンA
,
肝オルガノイド
pp.777-781
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908777
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近年,多能性幹細胞などのヒト幹・前駆細胞を用いて作製された細胞や組織を利用して,試験管内において人間の疾患病態を再現する試みに注目が集まっている.なかでも,自己組織化とよばれる過程を経て形成されるオルガノイドは,臓器の微細構造や機能特性を一定程度反映するため,ヒト生物学研究から移植を目指す治療応用研究まで,さまざまな領域での活用が期待されている.さらに,遺伝学的・非遺伝学的素因を加味したオルガノイドモデルを用いることで,いままで再現することが困難だった人間の病態成立過程を試験管内で再現することも現実味をおびてきた.たとえば,炎症・線維化病態を反映した多細胞系からなるヒト肝臓オルガノイドについても近年複数の報告がなされ,それらを活用した創薬標的探索や薬効評価を試みる研究についても,すでに実用化フェーズへと突入しつつある.本稿では,飛躍的に進化を遂げつつある幹細胞・オルガノイド技術を用いた肝線維化研究の最新動向を概説するとともに,実用化に向けた種々に課題について議論する.
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