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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
総論
国際宇宙ステーションにおける生物を対象とした研究と実験環境
Biological research and experiment environment on International Space Station
白川 正輝
1
Masaki SHIRAKAWA
1
1国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)有人宇宙技術部門きぼう利用センター
キーワード:
国際宇宙ステーション(ISS)
,
「きぼう」日本実験棟
,
宇宙実験
,
微小重力
,
人工重力
Keyword:
国際宇宙ステーション(ISS)
,
「きぼう」日本実験棟
,
宇宙実験
,
微小重力
,
人工重力
pp.555-560
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906555
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国際宇宙ステーション(ISS,「サイドメモ1」参照)の「きぼう」日本実験棟では,これまでに250を超えるさまざまな実験を行っている.なかでも,長期間の微小重力環境を利用した生命医科学実験として,①宇宙で生じる生体への影響と地上の疾患との類似性に着目した地上の課題解決に向けた研究,②重力というベールを取り去ることでみえてくる生命本来の機能に迫る基礎的研究,③宇宙探査など有人宇宙活動拡大に向けた知見獲得などを実施している.これらを戦略的に推進可能な実験環境として,遠心機による人工重力環境を実現できる生物実験装置がある.重力の影響の詳細な評価・解析のみならず,月や火星などの低重力環境でのマウスの長期飼育などを計画しており,地球の重力(1G)より小さい低重力は宇宙の微小重力環境でのみ実現可能であることから,小動物用の遠心機を備える「きぼう」ならではの研究となる.本稿では,宇宙への生物打ち上げの歴史やわが国の初期の宇宙環境を利用した生物実験を含め,宇宙での生物実験の意義・必要性や「きぼう」の実験環境について述べる.
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