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特集 宇宙医学とリハビリテーション
宇宙医学とリハビリテーション医学
Space medicine and rehabilitation medicine
山田 深
1,2
Shin Yamada
1,2
1杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
2宇宙航空研究開発機構(JAXA)
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
有人宇宙開発
,
宇宙飛行士
,
微小重力
,
生理的対策
Keyword:
有人宇宙開発
,
宇宙飛行士
,
微小重力
,
生理的対策
pp.601-606
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200284
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有人宇宙開発の歴史と宇宙医学におけるリハビリテーション
いろいろな疾患によって生じた神経,筋,骨格器系の運動障害,ならびに高次脳機能障害を物理医学的手段により診断,治療を施す医学がリハビリテーション医学であり,リハビリテーション医学における最大の問題点はdismobility(動けなくなること)である1).長期臥床や不動によって生じる筋萎縮,骨量低下,そして持久力低下はリハビリテーション医療の従事者が直面する問題であるが,ヒトが長期間にわたって宇宙という微小重力環境に晒された場合に同様の変化が生じるであろうことは容易に想像できる.国際宇宙ステーション(International Space Station;ISS)(図1)での長期滞在ミッションから地球に帰還したばかりの宇宙飛行士は立って歩くことができず,座位の保持すらままならない状態に陥っている(図2).宇宙飛行士が日常生活に,あるいは日常の業務に復帰するためにはリハビリテーションが必要になり,運動療法が果たす役割はきわめて大きい.
有人宇宙開発と医学の歴史を振り返ると,その黎明期といえる1960年代から打ち上げ時に身体にかかる過重力,および軌道上での微小重力環境による体液分布の変化と循環動態への影響,視覚や前庭への刺激に対する身体の反応,そしてそれぞれに対する対抗手段についての研究が積み重ねられてきた.宇宙医学は有人宇宙活動にかかわる医学的課題に対してそのメカニズムを解明し,同時にそれらの課題に対する対処法を確立することにより,活動をより安全・快適に行えるようする2)ための研究を行う学問である.
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