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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
宇宙環境に関連した各研究対象と最新の知見
感染防御のための宇宙生命科学研究:次世代の有人宇宙飛行に向けて
Interstellar researches on preventing infection:Looking forward to the next era of manned space exploration
暮地本 宙己
1
Hiroki BOCHIMOTO
1
1東京慈恵会医科大学細胞生理学講座宇宙航空医学研究室
キーワード:
有人宇宙飛行
,
微小重力
,
感染防御
,
日和見病原体
,
“One World,One Health”
Keyword:
有人宇宙飛行
,
微小重力
,
感染防御
,
日和見病原体
,
“One World,One Health”
pp.583-588
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906583
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民間有人宇宙飛行が実現し,宇宙飛行における健康管理の重要性が高まっている.感染症は有史以来人類の脅威であり,宇宙でも細菌およびウイルス感染症が実際に報告され,深宇宙探査に向けた課題となっている.宿主のマクロファージやナチュラルキラー(NK)細胞,T細胞への微小重力の影響が,宇宙での免疫減弱につながる可能性が示されている一方で,細菌・微生物は宇宙で毒性・増殖性を増し,ヘルペスウイルス科も宇宙で再活性化するなど,病原体は,宇宙で病原性を増強させる傾向を示す.感染経路への対策には,宇宙ステーションでのアルコール消毒剤の利用などに,宇宙特有の事情を考慮する必要がある.今後は,将来的な宇宙開発の進展を見据えて,宿主,病原体,感染経路の三要因を,ヒト,環境,動物のOne Healthの要素と対応させるとともに,居住圏に応じた重力変動を考慮に入れた巨視的な観点から,宇宙における感染防御を理解することが望まれる.
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