連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.17
旋尾線虫幼虫症
吉田 彩
1
Aya YOSHIDA
1
1東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野,元東京都保健医療公社荏原病院
キーワード:
ホタルイカ
,
皮膚爬行症
,
旋尾線虫Type Ⅹ幼虫
,
Crassicauda giliakiana
Keyword:
ホタルイカ
,
皮膚爬行症
,
旋尾線虫Type Ⅹ幼虫
,
Crassicauda giliakiana
pp.982-985
発行日 2021年9月11日
Published Date 2021/9/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27811982
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Summary
旋尾線虫症は旋尾線虫のうち,Crassicauda giliakianaの幼虫移行症である.ヒトへの感染はホタルイカの生食(踊り食いや醬油漬け,いわゆる沖漬)によるもので,患者の報告はその漁期に一致する3~6月に多い.流通網の発達により1987年に産地である富山湾から全国へ生きたままの遠隔地輸送が始まって以降,患者の発生が報告され始め,1988~94年に53例,1995~2003年に49例の報告がある1).その後,2004~2017年では21例と減少傾向にあり,これは当時の厚生労働省が生のホタルイカの販売に関する規制を通達したことに関連すると考えられる.このように旋尾線虫幼虫症の報告数は減少しているが,実態としては報告数を上回る感染があるものと考えられる.本稿では感染源の解説と,都内で購入したホタルイカから感染した旋尾線虫幼虫による皮膚爬行症の自験例を紹介し考察する.
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