連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.16
肝蛭症(肝占拠性病変の鑑別診断のひとつに考えよう)
中村(内山) ふくみ
1
Fukumi NAKAMURA-UCHIYAMA
1
1東京都立墨東病院感染症科
キーワード:
肝蛭症
,
肝SOL(space occupying lesion)
,
hepatic phase
,
biliary phase
,
トリクラベンダゾール
Keyword:
肝蛭症
,
肝SOL(space occupying lesion)
,
hepatic phase
,
biliary phase
,
トリクラベンダゾール
pp.784-787
発行日 2021年8月28日
Published Date 2021/8/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27809784
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Summary
肝蛭症は世界中に広く分布する人畜共通寄生虫症である.国内感染と輸入感染症として重要な疾患であるが,診断にしばしば時間を要することがある.症状,検査所見からの鑑別診断は細菌性肝膿瘍,アメーバ性肝膿瘍,胆管細胞がん,胆石嵌頓,胆管炎,胆囊炎などであり,好酸球増多が肝蛭症を疑うきっかけとなる.患者背景と食歴の確認が重要である.急性期と慢性期の病態を理解し,病期に応じた適切な検査を提出する.治療薬はトリクラベンダゾールが第一選択である.本薬剤は国内未承認であり,熱帯病治療薬研究班薬剤保管施設において,臨床研究として治療が可能である.
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