Japanese
English
TOPICS 免疫学
COVID-19における免疫応答の性差
Sex differences in immune responses in COVID-19
高橋 岳浩
1
,
岩崎 明子
1,2
Takehiro TAKAHASHI
1
,
Akiko IWASAKI
1,2
1Yale University Department of Immunobiology
2Howard Hughes Medical Institute
1Yale University Department of Immunobiology
2Howard Hughes Medical Institute
pp.782-783
発行日 2021年8月28日
Published Date 2021/8/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27809782
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男女あるいは雌雄における生物学的性差は染色体の構成の違いによる種々の重要な遺伝子の発現量の相違,あるいは性ホルモン等内分泌環境の相違などによって,多岐にわたる疾患において感受性・重症度の差に大きく関与する.免疫反応の性差はなかでも非常に重要であり,過去の広範な研究が,ショウジョウバエからヒトに至るまで,種を超えて感染症における感受性あるいは重症度における性差を明らかにしてきた1).当然のことながら個々の病原体についてその反応の性差のパターンは異なるが,一般論として,雌性の方が,より強力な免疫応答を示し,感染症に対して強い抵抗性を有することは広く知られている.ヒトの例をあげれば,インフルエンザウイルスのワクチン接種においては同用量のワクチン接種に対して女性の方が高い抗体価を獲得し,C型肝炎ウイルス(HCV)やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者においてはウイルス量は一般的に女性の方が低いことが知られる1).このような免疫応答の性差の原因となる因子については多くのものが知られ,たとえば,ウイルスRNA認識に重要なToll様受容体(TLR)-7はX染色体にコードされ,その発現量はXXの染色体を有する女性の方が高いこと,そしてこの発現量の差が,抗ウイルス免疫応答に重要なⅠ型インターフェロン応答の性差に寄与することが知られている1,2).
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