Japanese
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特集 腸内細菌と免疫
多発性硬化症における腸内細菌研究の進歩
Advances in gut microbiome research in multiple sclerosis
竹脇 大貴
1
,
佐藤 和貴郎
1
,
山村 隆
1
Daiki TAKEWAKI
1
,
Wakiro SATO
1
,
Takashi YAMAMURA
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部
キーワード:
多発性硬化症(MS)
,
腸内細菌叢
,
短鎖脂肪酸(SCFA)
,
メタゲノム解析
,
酸化ストレス
Keyword:
多発性硬化症(MS)
,
腸内細菌叢
,
短鎖脂肪酸(SCFA)
,
メタゲノム解析
,
酸化ストレス
pp.767-769
発行日 2021年8月28日
Published Date 2021/8/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27809767
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中枢神経系自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)の腸内細菌叢異常については,2015年の筆者らの世界初の論文の後,欧米各国から報告が相次いでいる.これらの論文は再発・寛解型MS(RRMS)の糞便試料を扱っているが,短鎖脂肪酸(SCFA)産生菌の減少,あるいはSCFA自体の減少,さらにはプロピオン酸長期投与によるMS病態の改善など,おおむね一貫性のある結果が報告されている.筆者らは最近,RRMSを経て慢性進行型MS〔二次進行型MS(SPMS)〕を発症した症例の腸内細菌叢解析を実施しているが,メタゲノム解析の結果から,SPMSの腸管内で酸化ストレスの亢進が顕著であることや,神経症状の進行に関連した細菌が存在することなどを明らかにしている.これらの知見が治療や予防につながることが期待される.
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