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第5土曜特集 難治性免疫疾患――病態解明と新規治療戦略
疾患
多発性硬化症診療の進歩
Multiple sclerosis
――Focus on the progress
佐藤 和貴郎
1
Wakiro SATO
1
1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部,多発性硬化症センター
キーワード:
多発性硬化症(MS)
,
進行型MS
,
視神経脊髄炎
,
腸内細菌
Keyword:
多発性硬化症(MS)
,
進行型MS
,
視神経脊髄炎
,
腸内細菌
pp.802-809
発行日 2021年5月29日
Published Date 2021/5/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27709802
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多発性硬化症(MS)は代表的な中枢神経系の脱髄性炎症性疾患で,自己免疫機序の解明により近年,再発予防治療が多数登場し,多くの患者の予後が改善している.一方で,現役世代に発症し長期治療を要するが,安全性と高い効果を併せ持つ薬剤がまだないこと,神経障害の蓄積により歩行障害や認知機能障害が出現しうる進行型MSの診断法や治療法が十分でないこと,生活習慣の変化に起因すると思われる患者数の増加を抑制する方策が確立していないことなどの課題があり,新しい機序の薬剤開発や神経保護・再生治療,バイオマーカー研究,腸内細菌叢研究が活発に進められている.また,抗アクアポリン4(AQP4)抗体や抗MOG抗体が臨床検査で測定できるようになり,視神経脊髄炎などMS類縁疾患の鑑別に進歩がみられ,精密医療の実現へ向け,一歩ずつ前進している.
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