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第1土曜特集 構造生命科学による創薬への挑戦
タンパク質工学から創薬へ
二重特異性がん治療抗体の機能的な構造の理解に向けたあゆみ
Progress in the understanding of the functional structure of bispecific cancer therapeutic antibodies
浅野 竜太郎
1
,
真壁 幸樹
2
,
田中 良和
3
,
熊谷 泉
1
Ryutaro ASANO
1
,
Koki MAKABE
2
,
Yoshikazu TANAKA
3
,
Izumi KUMAGAI
1
1東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門
2山形大学大学院理工学研究科
3東北大学大学院生命科学研究科
キーワード:
低分子二重特異性抗体
,
配向性
,
がん細胞傷害活性
,
原子間力顕微鏡
,
電子顕微鏡単粒子解析
Keyword:
低分子二重特異性抗体
,
配向性
,
がん細胞傷害活性
,
原子間力顕微鏡
,
電子顕微鏡単粒子解析
pp.617-622
発行日 2021年8月7日
Published Date 2021/8/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27806617
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がん治療を目指した二重特異性抗体のなかで,T細胞とがん細胞間の架橋を目指した分子のみ,医薬品として国外で2件の承認実績があるが,その開発を加速させるためには二重特異性抗体の機能的な構造を理解する必要がある.筆者らは,抗原結合ドメインのみで構成される低分子二重特異性抗体を中心に開発を行ってきた.その過程で,構成するドメインは同一であるものの連結順を入れ替えて配向性を改変することで,がん細胞傷害活性が大きく向上することを見出した.それぞれの標的抗原への親和性は変わらないものの,原子間力顕微鏡を用いた2細胞間架橋度評価の結果,活性が高い配向性を有する分子はより強い架橋度を示した.近年,クライオ電子顕微鏡単粒子解析が構造生物学分野において席巻しつつある.筆者らも電子顕微鏡を用いた解析を進めており,二重特異性抗体の機能的な構造の理解が一層進むことを期待している.
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