トピックス
血友病A治療の最前線—二重特異性抗体の登場
西川 真子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1195-1197
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208169
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
血友病とは,血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)あるいは第Ⅸ因子(FⅨ)の量的・質的異常によるX連鎖性劣性遺伝形式の先天性出血性疾患である.血友病の止血療法は,インヒビター非保有例では不足した凝固因子の補充療法,インヒビター保有例ではバイパス止血製剤の輸注が標準治療として行われてきたが,2018年にわが国で保険収載された二重特異性抗体製剤エミシズマブによって,血友病Aの治療は転換期を迎えている.エミシズマブはFⅧの活性化を要さずに血液凝固第Ⅹ因子(FⅩ)を活性化させるため,エミシズマブ投与下では活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)が過度に短縮する.本稿では,エミシズマブ投与下での血液凝固系検査への影響を中心に述べる.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.