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第1土曜特集 構造生命科学による創薬への挑戦
構造解析から創薬へ
構造から捉えた,エンドセリンB型受容体標的薬の動作原理
Structural insight into the mechanism of the ETB-targeting drugs
志甫谷 渉
1
,
濡木 理
1
Wataru SHIHOYA
1
,
Osamu NUREKI
1
1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻構造生命科学講座
キーワード:
エンドセリン受容体
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
,
X線結晶構造解析
,
肺動脈性肺高血圧(PAH)
Keyword:
エンドセリン受容体
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
,
X線結晶構造解析
,
肺動脈性肺高血圧(PAH)
pp.545-552
発行日 2021年8月7日
Published Date 2021/8/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27806545
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エンドセリン受容体はGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種であり,ペプチドホルモンであるエンドセリン-1(ET-1)を受容することで血圧調整などの体内の恒常性維持を担う.ET-1の異常な産生はがん,高血圧,心臓病など疾患の原因となるため,その作用を拮抗的に阻害する拮抗薬が臨床研究されている.実際に,肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する治療薬として,拮抗薬であるボセンタンやその誘導体が実用化されている.筆者らは,X線結晶構造解析を用いることで,ヒト由来エンドセリンB型受容体の計8つの構造解析に成功した.構造情報から,ET-1による受容体活性化機構や,臨床に使われている拮抗薬の結合様式および受容体活性阻害機構が明らかになった.エンドセリン受容体を標的とした臨床試験は,がんをはじめとしてフェイズ3で失敗しているものも多い.構造情報に基づいて,エンドセリン受容体を標的とした新規薬剤を開発できれば,こうした状況を打開できる可能性がある.
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