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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管構築と血管機能・病態
プロスタグランジンによる血管透過性の制御
Bioactive lipids regulate vascular permeability
村田 幸久
1
,
小林 幸司
1
,
堀上 大貴
1
Takahisa MURATA
1
,
Koji KOBAYASHI
1
,
Daiki HORIKAMI
1
1東京大学大学院農学生命科学研究科獣医薬理学研究室,同放射線動物科学研究室,同食と動物のシステム科学研究室
キーワード:
血管透過性
,
血管内皮細胞
,
血管平滑筋細胞
,
プロスタノイド
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
Keyword:
血管透過性
,
血管内皮細胞
,
血管平滑筋細胞
,
プロスタノイド
,
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
pp.993-996
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130993
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全身をくまなく走行する血管は,正常時には高分子を血管外に漏出させることはなく,酸素や栄養素などの低分子のみを透過させて組織に供給する.しかし,組織で炎症が起こると血管の透過性が亢進し,血漿中の高分子や水分が血管外に漏出する.これが免疫細胞の浸潤や炎症性メディエーター産生の引き金となり,炎症をさらに進行させる.血管透過性の制御には,血管を構成する内皮細胞と血管壁細胞が関与する.内皮細胞は血管の内側を覆って物理的なバリアを形成する.血管壁細胞は収縮・弛緩することで下流組織の血流量や血圧を調節する.プロスタグランジン(PG)やトロンボキサン(TX)は炎症刺激に応じて産生される重要な生理活性脂質であり,痛みや発熱,細胞浸潤などを引き起こすほか,血管透過性にも大きな影響を及ぼす.本稿では,主要な生理活性脂質であるPGE2,PGI2,PGF2α,PGD2,TXA2が血管透過性に与える影響について,内皮細胞や血管壁細胞に発現するそれぞれのGタンパク質共役型受容体(GPCR)の働きに注目して整理する.
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