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特集 高速分子動画:動的構造からタンパク質分子制御へ
Ⅰ.高速分子動画装置の開発
固定ターゲットを軸とした生体高分子動的構造解析の新技術開拓
Developing new technology for dynamic structure analysis of biological macromolecules based on fixed targets
山本 雅貴
1,2
,
松浦 滉明
1
,
吾郷 日出夫
1
,
熊坂 崇
2
,
馬場 清喜
2
,
長谷川 和也
2
,
鈴木 明大
3
Yamamoto Masaki
1,2
,
Matsuura Hiroaki
1
,
Ago Hideo
1
,
Kumasaka Takashi
2
,
Baba Seiki
2
,
Hasegawa Kazuya
2
,
Suzuki Akihiro
3
1理化学研究所放射光科学研究センター
2高輝度光科学研究センター放射光利用研究基盤センター
3北海道大学電子科学研究所
キーワード:
放射光
,
X線自由電子レーザー
,
XFEL
,
X線結晶構造解析
,
動的構造解析
,
コヒーレント回折イメージング
,
CDI
Keyword:
放射光
,
X線自由電子レーザー
,
XFEL
,
X線結晶構造解析
,
動的構造解析
,
コヒーレント回折イメージング
,
CDI
pp.202-206
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201853
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生体高分子の構造変化を原子分解能で観察できるX線結晶構造解析の核心は,結晶化し秩序立って並んだ生体高分子の並進対称性を使い,生体高分子の微弱なX線散乱強度を増幅しているところにあり,増幅量の観点では結晶が大きいほうが好ましい。その一方で,動的構造解析ではX線散乱強度の増幅効果を維持するため結晶全体で生体高分子の構造変化を同期させる必要があり,生体高分子の数が少ない微小結晶が好ましい。この相反する要請に折り合いをつけ,動的X線結晶構造解析を大きく前進させたのはX線自由電子レーザー(X-ray free-electron laser;XFEL)の超高輝度極短X線パルスを用いたシリアル測定法であり,近年は放射光でも測定技術の向上により利用可能になっている1)。
新しい研究分野の開拓を目指す新学術研究への参画にあたって,筆者らは,前述のシリアル測定法ではなく,放射光を使った新しい切り口の動的構造解析法の開発に挑戦することとし,サブミクロンサイズの極微小結晶からの回折強度測定を目指す真空回折計の開発,生体高分子の構造変化の誘起や,生体内に近い環境下での測定を可能にする結晶調温調湿装置の開発などを進めた。本稿ではこれらの開発に加え,生体高分子の動的構造解析の究極的な研究手法となる可能性を秘めたコヒーレント回折イメージング(coherent diffractive imaging;CDI)による単粒子構造解析の現状について述べる。
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