Japanese
English
第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
生殖細胞におけるクロマチン動態とトランスポゾン制御
Chromatin dynamics and transposon regulation in mouse germ cells
藤澤 達也
1
,
李 沛霖
1
,
山中 総一郎
1
Tatsuya FUJISAWA
1
,
Peilin LI
1
,
Soichiro YAMANAKA
1
1東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
キーワード:
生殖細胞クロマチン
,
新規DNAメチル化
,
エンハンサー
,
トランスポゾン(TE)
Keyword:
生殖細胞クロマチン
,
新規DNAメチル化
,
エンハンサー
,
トランスポゾン(TE)
pp.987-992
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100987
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哺乳類生殖細胞の発生段階では,DNAメチル化やヒストン修飾といったエピゲノムマークが再構築されるなど,大規模なクロマチン変化が起きることで生殖細胞の特異な形質が獲得される.初期発生過程で出現した始原生殖細胞(PGC)では,ゲノム上のDNAメチル化が消去されるなど,両親から受け継いだエピゲノム情報が失われる.その後,ゲノム上に再度DNAメチル化が導入される際には,転写,ヒストン修飾,クロマチンアクセシビリティといったゲノムの状態がDNAメチル化の程度に影響する.このようにして形成されたゲノム上のエピゲノムマークに加えて,主にエンハンサーを介した転写因子による遺伝子発現の制御によって,生殖細胞におけるトランスクリプトームが規定されている.上記に加えて,生殖細胞では体細胞とは異なり,トランスポゾン(TE)上のエピゲノムがリプログラムされることで,一過的な発現上昇がみられる.さらに,このTE活性化は配偶子形成と強く関連することが見出されている.このように,生殖細胞ではDNAメチル化,エンハンサー,TEなどの働きが相互に影響しあうことで,個体の生殖能が担保されていることがわかってきた.
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