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特集 NAFLD/NASHの診断と治療――ガイドラインの改訂点と問題点
NAFLD/NASHの予後と発癌,そのスクリーニング体制の問題点
Prognosis of NAFLD/NASH and the screening method for hepatocellular carcinoma
大塚 基之
1
Motoyuki OTSUKA
1
1東京大学大学院医学系研究科 器官病態内科学講座消化器内科学
キーワード:
肝癌
,
スクリーニング
,
予後
Keyword:
肝癌
,
スクリーニング
,
予後
pp.545-549
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27707545
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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者では全死亡率・肝関連死亡率が一般人口に比較して増加し,そのリスクは肝線維化の進展に伴い増大する.肝臓だけでなく,とくに心血管イベント,肝臓以外のほかの臓器の癌も増えることに留意する必要がある.NAFLDを背景とした肝発癌率はウイルス肝炎を背景とした場合よりも低率ではあるが,母集団が大きいため実数としての肝癌患者数は多い.NAFLDを背景とした場合でもウイルス肝炎と同様,肝線維化進行例で発癌率は高くなるため,非侵襲的検査により線維化を評価し発癌リスクを層別化したうえで効率的にサーベイランスを行うことが重要である.一方で,発癌率は低いもののNAFLDの非硬変肝からの発癌も相当数ある.この “肝線維化が進んでいない群からの発癌” を早期に検出するための効率的なスクリーニング法は確立されておらず,ときに進行した状態で見つかることもある.そのため非肝硬変群のなかでの発癌高危険群の囲い込み法の確立と効率的な肝癌スクリーニング法の確立が今後の課題である.
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