特集 ウイルス肝炎制御時代の肝発癌
1.ウイルス肝炎制御をめぐる疫学と最新動向(3)わが国におけるNAFLD/NASHの疫学
角田 圭雄
1
,
藤井 英樹
2
,
高橋 宏和
3
,
鎌田 佳宏
4
,
川口 巧
5
,
中島 淳
6
1愛知医科大学内科学講座肝胆膵内科
2大阪公立大学大学院医学系研究科肝胆膵病態内科学
3佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター
4大阪大学大学院医学研究科生体物理工学講座病態超音波医学研究室
5久留米大学医学部消化器内科
6横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学
キーワード:
肝線維化
,
糖尿病
,
肝癌
,
PNPLA3
,
FIB-4 index
Keyword:
肝線維化
,
糖尿病
,
肝癌
,
PNPLA3
,
FIB-4 index
pp.880-887
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002265
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国内では成人の25%がNAFLDに罹患し,東アジアはPNPLA3 Gアレルの頻度が高く,非肥満例を含めNAFLDは増加傾向にある.NASHの頻度は肝生検による選択バイアスのため正確に評価できないが,全人口の2~3%と推定される.国内の約1,400例を対象とした多施設共同試験(CLIONE試験)の結果によると,高度肝線維化(F3/4)では年率1.5%程度の発癌リスクがある.糖尿病患者では半数以上がNAFLDに罹患し,そのうち高度肝線維化例は17%程度と推定され,FIB-4 index高値例では肝発癌リスクが高い.2030年には国内で高度肝線維化例が約100万人に達すると推定され,NASHが肝癌・肝不全の主因となることが懸念される.
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