特集 肝炎の最新情報と展望
肝炎からの肝発癌をめぐる話題:C型肝炎SVR後の肝発癌ポテンシャル
丸澤 宏之
1
1京都大学大学院医学研究科消化器内科講師
キーワード:
肝癌
,
C型肝炎
,
遺伝子異常
Keyword:
肝癌
,
C型肝炎
,
遺伝子異常
pp.57-60
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.02_0057-0060
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「はじめに」癌の発生にはさまざまな要因が関与しているが,なかでも慢性炎症は発癌の主要な背景因子であることが知られている。事実,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)感染による慢性肝炎からの肝発癌は年率0.5~1%,肝硬変からの肝発癌は年率5~8%にも達することが知られている1)。また,早期発見がなされた肝細胞癌を肝切除術やラジオ波熱凝固療法により根治的に治療しても,残存する肝臓に新たに肝細胞癌が発生する,いわゆる多中心性発癌は日常臨床でしばしば経験するところであり,慢性的に炎症にさらされた肝臓は発癌のポテンシャルがきわめて高いことがわかる。一方,HCV感染に対してインターフェロン治療を行うことで,肝細胞癌の発生率が有意に低下することが広く知られているが,インターフェロン治療によるHCVのウイルス排除(sustained virological response;SVR)後にもかかわらず肝細胞癌の発生をみることは,まれならず経験される。「KEY WORDS」肝癌,C型肝炎,遺伝子異常
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