特集 〈最新〉NAFLD/NASH 診療ガイドラインを読む
10.NAFLD/NASH の発癌とスクリーニング体制
大塚 基之
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1東京大学大学院医学系研究科器官病態内科学講座消化器内科学
キーワード:
肝癌
,
スクリーニング
,
サーベイランス
,
予後
Keyword:
肝癌
,
スクリーニング
,
サーベイランス
,
予後
pp.777-782
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001822
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わが国では,ウイルス肝炎を背景にもつ肝癌の割合が減少する一方,NAFLDを含む非B非C型肝癌が増加している.NAFLDを背景とした肝発癌率は,ウイルス肝炎が基礎疾患の場合よりも低率ではあるが,母集団が大きいため実数としての発癌患者数は多い.NAFLDを背景とした場合でも,ウイルス肝炎と同様,肝線維化進行例で発癌率は高くなるため,非侵襲的検査により線維化を評価し発癌リスクを層別化することで効率的にサーベイランスを行うことが重要である.一方で,発癌率は低いもののNAFLDの非硬変肝からの発癌もある.この「肝線維化が進んでいない群からの発癌」を早期に検出するための効率的なスクリーニング法は確立されておらず,時に進行した状態で見つかることもあるため,今後,非肝硬変群の中での発癌高危険群の囲い込み法の確立と効率的な肝癌スクリーニング法の確立が必須である.
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