Japanese
English
第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系のウイルス感染症
亜急性硬化性全脳炎の病態,診断と治療
Subacute sclerosing panencephalitis
――an update on pathophysiology, diagnosis, and treatment
松重 武志
1
,
長谷川 俊史
1
Takeshi MATSUSHIGE
1
,
Shunji HASEGAWA
1
1山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座
キーワード:
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
,
変異型麻疹ウイルス
,
遅発性ウイルス感染症
Keyword:
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
,
変異型麻疹ウイルス
,
遅発性ウイルス感染症
pp.83-87
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2770183
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亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は,麻疹罹患後に数年の潜伏期間を経て,亜急性に発症するまれな遅発性ウイルス感染症である.発症には宿主側とウイルス側の要因が関係しているとされる.臨床症状は,初期は性格変化,学業不振などの非特異的なものであるが,病期2期には特徴的なミオクローヌスを示すようになり,本疾患を疑う契機となる.筋緊張亢進,錐体外路症状,自律神経症状,意識障害,呼吸障害などが進行し,数年の経過で死に至る.脳波では初期から周期性同期性放電を認め,髄液麻疹抗体価が陽性を示し,診断に至る.現時点でエビデンスの高い根治療法はないが,イノシンプラノベクス,インターフェロン,リバビリンなどが進行を遅らせる可能性がある.近年,ウイルス変異の病態理解が進み,新たな治療応用が期待される.
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