増刊号 診断基準とその使い方
X.神経・筋
7.亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
浜野 建三
1
1筑波大学臨床医学系・小児科
pp.2210-2211
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222065
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■疾患概念と疫学
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は,小児から青年期にみられる中枢神経系の変性疾患で,Bouteilleら1)によって1965年,脳組織中にパラミキソウイルス様構造物が発見され,その後,脳組織中の麻疹抗原の存在や髄液および血清中の麻疹抗体の上昇などの報告がなされ,麻疹ウイルスと関連して発症することが確認されたが,その真の病因・病態については今なお議論のあるところである.
SSPEの頻度は報告によって多少異なるが,米国での356例を対象とした1960〜74年での検討2)では,麻疹罹患者100万人あたり年間5.2〜9.7人,平均6.2人の発症をみている.男女比では2.4と男子に多い.一方,本邦では,奥野ら3)の1963〜81年における113例の調査によると,麻疹罹患者100万人あたり年間0.7〜22.7人,平均9.2人が発症している.しかし,麻疹ワクチンが普及した後では,麻疹接種者100万人あたり年間発症数0.5〜1.1人(米国),0.5人(本邦)と発症頻度が激減している.
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