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第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系の感染症を知る,診る
ウイルス性脳炎の宿主遺伝要因
Host genetic factors for the development of viral encephalitis
楠原 浩一
1
Koichi KUSUHARA
1
1産業医科大学小児科
キーワード:
単純ヘルペス脳炎(HSE)
,
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
,
抗ウイルス免疫
,
Toll様受容体
,
宿主遺伝要因
Keyword:
単純ヘルペス脳炎(HSE)
,
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
,
抗ウイルス免疫
,
Toll様受容体
,
宿主遺伝要因
pp.33-38
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2770133
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近年の免疫遺伝学的解析の進歩により,神経感染症,とくにウイルス性脳炎の発症に関与する宿主遺伝要因が明らかになってきている.なかでも単純ヘルペス脳炎(HSE)については,Toll様受容体3(TLR3)経路を構成する分子を中心とした単一遺伝子の変異と疾患感受性との関連が注目されている.これらの遺伝子変異にはHSEのみの疾患感受性亢進を示すものと,単純ヘルペスウイルス(HSV)以外の病原体への易感染性も示すものがある.一方,麻疹ウイルス(MV)による遅発性脳炎である亜急性硬化性全脳炎(SSPE)では,疾患感受性と免疫に関わる遺伝子多型との関連が報告されている.この分野における研究の進展は中枢神経特異的および中枢神経内の各組織特異的な免疫機構の解明,発症リスクの評価や重症化の予測,それに基づく予防・治療の個別化,さらには新しい治療法の開発につながるものと期待される.
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