Japanese
English
特集 ケトン体による生体制御
ケトン体による脂肪細胞機能制御
Regulation of adipocytes by ketone body
西谷 重紀
1
,
福原 淳範
1
,
下村 伊一郎
1
Shigeki NISHITANI
1
,
Atsunori FUKUHARA
1
,
Iichiro SHIMOMURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
キーワード:
3-ヒドロキシ酪酸
,
アディポネクチン
,
Hmgcs2
,
β-hydroxybutyrylation
Keyword:
3-ヒドロキシ酪酸
,
アディポネクチン
,
Hmgcs2
,
β-hydroxybutyrylation
pp.1114-1118
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121114
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近年,ケトン体3-ヒドロキシ酪酸はグルコース欠乏状態における代替エネルギーとしての役割のみならず,グルコース充足状態ではシグナル因子として,β-hydroxybutyrylationやヒストン脱アセチル化阻害などによりエピジェネティックなヒストン修飾を誘導したり,Gタンパク質共役受容体(GPR)のリガンドとして結合したりして,さまざまな作用を発揮することが明らかになってきた.肥満・糖尿病マウスおよび培養成熟白色脂肪細胞を用いた筆者らの検討では,3-ヒドロキシ酪酸は白色脂肪細胞においてβ-hydroxybutyrylationによるヒストン修飾を介してアディポネクチン遺伝子発現を増加させることが示唆された.また,従来は肝臓でのみ発現していると考えられてきたケトン体合成酵素Hmgcs2が,肝臓以外のさまざまな細胞で発現しており,それぞれの細胞で起こるケトン体生合成がそれらの細胞自体の分化に影響している可能性も想定される.Hmgcs2を白色脂肪細胞特異的に制御することで,アディポネクチン遺伝子発現を増強する新たな治療法の開発につながることが期待され,さらなる知見の集積が待たれる.
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