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特集 ケトン体による生体制御
ケトン体による腎機能制御
Ketone body metabolism in kidney disease
久米 真司
1
Shinji KUME
1
1滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
キーワード:
ケトン体
,
3-ヒドロキシ酪酸
,
慢性腎臓病
,
急性腎障害
,
糖尿病性腎臓病
Keyword:
ケトン体
,
3-ヒドロキシ酪酸
,
慢性腎臓病
,
急性腎障害
,
糖尿病性腎臓病
pp.1119-1122
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121119
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主に1型糖尿病の発症期に生じるケトアシドーシスは糖尿病における重篤な急性合併症のひとつである.よって,100年前の1921年にインスリンが発見され,その後の医療の進歩によりケトアシドーシスの治療が可能となった今でも,ケトン体には非常に強い “負のイメージ” が根付いている.しかし元来,飢餓に曝され進化してきた生物にとって,ケトン体が飢餓時のエネルギー源として重要な役割を果たしてきたことを考慮すると,ケトン体そのものが本当に生体にとって毒性を示すのかとの疑問が浮かぶ.さらに近年,ケトン体研究が進むにつれ,ケトン体の持つ生体に対する有益性が明らかとされ,ケトン体にも “正のイメージ” が少しずつ芽生えはじめている.本稿では,筆者らの研究成果である糖尿病性腎臓病におけるケトン体の腎保護効果をはじめ,既報のケトン体と腎障害に関する報告について概説させていただく.
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