Japanese
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特集 ケトン体による生体制御
はじめに
Introduction
福原 淳範
1
,
下村 伊一郎
2
Atsunori FUKUHARA
1
,
Iichiro SHIMOMURA
2
1大阪大学大学院医学系研究科肥満脂肪病態学寄附講座
2同内分泌・代謝内科学
pp.1097-1097
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121097
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- Abstract 文献概要
ケトン体は脂肪酸酸化で生じたアセチルCoAから産生されるアセトン,アセト酢酸,3-ヒドロキシ酪酸の総称である.飢餓状態では脂肪組織から脂肪酸が放出され,肝臓で脂肪酸酸化を受けることでケトン体が産生される.そして,ケトン体は肝臓以外の臓器でアセチルCoAに再変換されることでエネルギー源として利用される.糖尿病診療においては,インスリン欠乏によってケトン体の血中濃度が上昇するケトアシドーシスが致命的な病態であることから,ケトン体自体が生体の危険信号であると誤解されることがある.実際には,ケトン体は飢餓状態で産生される重要なエネルギー源であり,ケトン体合成酵素であるHMGCS2欠損の症例では,飢餓や感染状態においてケトン体産生が障害されるため,非ケトン性低血糖による意識障害や痙攣をきたす.
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