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特集 ケトン体による生体制御
ケトン体受容体による生体機能制御
The role of ketone body receptors on metabolic homeostasis
北野(大植) 隆司
1
,
西田 朱里
2
,
木村 郁夫
1,2
Ryuji OHUE-KITANO
1
,
Akari NISHIDA
2
,
Ikuo KIMURA
1,2
1京都大学大学院生命科学研究科高次生命科学専攻生体システム学分野
2東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学専攻代謝機能制御学研究室
キーワード:
Gタンパク質共役受容体(GPCRs)
,
代謝機能制御
,
ケトン食
Keyword:
Gタンパク質共役受容体(GPCRs)
,
代謝機能制御
,
ケトン食
pp.1098-1103
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121098
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肥満症や2型糖尿病などの代謝性疾患に対する予防・改善効果の観点から,ケトン食(低炭水化物高脂肪食)や断続的断食に代表される擬似絶食療法が再評価されており,ケトン体を介した生理機能調節を背景として臨床応用が期待されている.ところが,生体に及ぼす影響についての多くが事象論にとどまっており,ケトジェニック環境下におけるケトン体の認識機構と,それに続く機能発現を含めた代謝機能制御に関する詳細な分子作用機序は明らかにされていない.近年,ケトン体をリガンドとする細胞膜上受容体としてGPR41,GPR43,GPR109Aが同定され,ケトン体が単なるグルコースの代替エネルギー源として働くだけでなく,シグナル分子として作用することで生体機能制御に関与する可能性が明らかになってきた.ケトン体とその受容体を介した分子栄養メカニズムの解明は,ケトン食を利用した食事介入や栄養管理を通じた先制医療や予防医学,さらにはケトン体受容体を標的とした代謝性疾患治療薬の開発につながる可能性が期待される.
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