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第5土曜特集 糖尿病治療・研究の最前線2021
基礎研究
アディポネクチンの新しい作用
Adiponectin and mesenchymal stem/stromal cells
喜多 俊文
1,2
,
下村 伊一郎
1
Shunbun KITA
1,2
,
Iichiro SHIMOMURA
1
1大阪大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学
2同肥満脂肪病態学寄附講座
キーワード:
アディポネクチン(APN)
,
エクソソーム
,
T-カドヘリン(T-cad)
,
セラミド
,
間葉系幹細胞(MSCs)
Keyword:
アディポネクチン(APN)
,
エクソソーム
,
T-カドヘリン(T-cad)
,
セラミド
,
間葉系幹細胞(MSCs)
pp.430-434
発行日 2021年1月30日
Published Date 2021/1/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27605430
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アディポネクチン(APN)は脂肪細胞から特異的に産生される分泌タンパクであり,約25年前の発見以来,これまでに世界中で2万報を超える研究報告がなされている.肥満に伴って低下し,糖代謝調節や心血管保護作用をはじめ,さまざまな臓器保護作用を有する善玉タンパクとされてきたが,近年ではAPN値が高いほど予後がよくないというAPNパラドックスがさまざまな臨床病態で報告されている.一方,ゲノムワイドな臨床研究である大規模メンデルランダム化試験から,APN値の変化は2型糖尿病や心血管疾患発症リスクに直接影響しないことが結論され,これまでの欠損マウスや組換え体投与などの実験動物を用いた研究との乖離が示された.筆者らはAPNが,その生理的には唯一証明できた受容体であるT-カドヘリン(T-cad)への結合を介してエクソソーム生合成を促進することを見出した.本稿では,この新しい作用原理からAPNにまつわる不思議を解き明かしてみたい.
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