Japanese
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第1土曜特集 1細胞解析――技術と応用
応用
精神疾患患者試料を使用した1細胞研究の現在
Current status of single-cell level studies using samples of patients with psychiatric diseases
文東 美紀
1
,
清田 恵美
1
,
岩本 和也
1
Miki BUNDO
1
,
Emi KIYOTA
1
,
Kazuya IWAMOTO
1
1熊本大学大学院生命科学研究部分子脳科学講座
キーワード:
神疾患患者死後脳解析
,
1細胞核RNAシーケンス(snRNA-seq)
,
体細胞変異
,
LINE-1
Keyword:
神疾患患者死後脳解析
,
1細胞核RNAシーケンス(snRNA-seq)
,
体細胞変異
,
LINE-1
pp.1022-1026
発行日 2021年3月6日
Published Date 2021/3/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276101022
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統合失調症などの精神疾患は,発症率が比較的高く,患者本人や社会にとって損失の大きい疾患であるが,これまでの多方面からの研究にもかかわらず,発症原因はいまだ不明である.患者死後脳バルク組織を使用して行われてきた従来のトランスクリプトーム解析は多くの知見を提供してきたものの,研究間で共通した見解が得られていないのが実情である.その一因として,脳は多数の細胞種からなる複雑な構造を持つ組織であることがあげられる.しかし,近年発展を遂げてきた1細胞解析技術は,細胞種を分離しつつ発現解析を行えるという点で新たなブレークスルーとなる可能性があり,精神疾患研究にもこの技術の応用がはじまっている.またゲノム解析の分野においては,脳の一部の細胞のみが持つ体細胞ゲノム変異について,1細胞レベルでの解析の試みがはじまっている.本稿では,そうした1細胞レベルでの新しい精神疾患研究の流れを概説する.
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