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特集 体細胞モザイク――後天的ゲノム変化がもたらす未来
食道の体細胞モザイク
Somatic mosaicism of the esophagus
横山 顕礼
1
Akira YOKOYAMA
1
1京都大学医学部附属病院腫瘍内科
キーワード:
加齢
,
生活習慣
,
変異原
,
体細胞変異
,
ドライバー変異
Keyword:
加齢
,
生活習慣
,
変異原
,
体細胞変異
,
ドライバー変異
pp.1220-1225
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu281131220
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次世代シーケンサーの登場と関連する技術革新によって,血液にはじまり,その他の正常組織においても老化とともに体細胞モザイクが生じることが報告された.正常食道の大半は扁平上皮から構成される.正常食道扁平上皮では発がんにさきだって,年少期のうちにNOTCH1変異を主体とした食道がんのドライバー変異を獲得したクローンが多中心性に出現し,加齢を重ねるとともに遺伝子変異が年輪を形成するように正確なペースで蓄積していた.実際に,20代の正常食道上皮ではまさしく “モザイク状” に変異クローンが混在していた.ドライバー変異も確認されたが,1mm間隔のサンプリングで共通変異を認めず,クローンサイズは小さかった.その一方で,高齢者の正常食道上皮ではドライバー変異で隙間なく満たされ,“モザイク状” ではなく密に,上皮の大半がドライバー変異を有するクローンに置換されていた.食道においてはドライバー変異を獲得したクローンによる上皮の再構築は加齢による不可避な変化であり,飲酒・喫煙という生活習慣がリスク要因として加わることで,加速的に進行すると考えられた.
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