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第1土曜特集 My Medicine(マイ・メディシン)――オルガノイド研究が拓く新しい医療のかたち
創薬研究の観点から
脳オルガノイドによるマイ・メディシン
Brain organoids for my medicine
松島 早希
1,2
,
今村 恵子
1,3,4
,
井上 治久
1,3,4
Saki MATSUSHIMA
1,2
,
Keiko IMAMURA
1,3,4
,
Haruhisa INOUE
1,3,4
1京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
2同医学部人間健康科学科
3理化学研究所バイオリサーチ研究センター(BRC)
4同革新知能統合研究センター(AIP)
キーワード:
脳オルガノイド
,
神経変性疾患
,
自閉症
,
疾患モデル
Keyword:
脳オルガノイド
,
神経変性疾患
,
自閉症
,
疾患モデル
pp.635-639
発行日 2021年2月6日
Published Date 2021/2/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27606635
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近年,発生生物学,とくに幹細胞技術の進歩はめざましく,なかでも脳オルガノイドの作製技術は,疾患解析や治療法探索に大きな影響を与えうる革新的技術のひとつとして注目されている.オルガノイドは多能性幹細胞からの自己組織化によって生物の発生を模倣する三次元構造物であり,脳オルガノイドは入手することが難しいヒト脳組織を再現することが期待されている.とくに疾患iPS細胞では,患者から採取した体細胞を用いることによって個人の遺伝的背景を保ったままin vitroで疾患を再現することが可能である.本稿では,発生・発達関連疾患や神経変性疾患などにおける脳オルガノイドの利用可能性と現状について述べる.この技術を用いたさまざまな発見がなされている一方で,細胞成熟度や再現性などの課題も残されており,今後,これらの課題の解決とともに,いまだ病態や機構が明らかでない疾患のモデリングや創薬分野での実用的なツール,個別化医療における有用なツールとしてさらなる応用が期待される.
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