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第1土曜特集 My Medicine(マイ・メディシン)――オルガノイド研究が拓く新しい医療のかたち
基礎研究の観点から
マイ・メディシン実現に向けた中胚葉オルガノイド研究の最新動向
Recent progresses in mesodermal organoids toward personalized medicine
田中 悦子
1
,
小林 明雄
1
,
西中村 隆一
1
Etsuko TANAKA
1
,
Akio KOBAYASHI
1
,
Ryuichi NISHINAKAMURA
1
1熊本大学発生医学研究所腎臓発生分野
キーワード:
オルガノイド
,
中胚葉
,
発生
,
多能性幹細胞
,
分化誘導
Keyword:
オルガノイド
,
中胚葉
,
発生
,
多能性幹細胞
,
分化誘導
pp.562-568
発行日 2021年2月6日
Published Date 2021/2/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27606562
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近年,生体内器官をin vitroで再現するオルガノイド研究が盛んであり,複数の中胚葉由来オルガノイドが報告されている.中胚葉は,初期胚の原腸陥入時に出現し,体軸に沿った成長因子の種類や濃度の違いで各細胞系譜特異的な転写因子が誘導され,脊索中胚葉,沿軸中胚葉,中間中胚葉,側板中胚葉に分化した後に,各器官を形成する.この生体における発生メカニズムをin vitroで模倣することでヒトiPS細胞を含めた多能性幹細胞から,腎臓や血管,心臓などの中胚葉由来オルガノイドが作製された.現時点では完全に生体と同様のオルガノイド作製には至っていないが,誘導したオルガノイドの構造や機能を用いた疾患メカニズムの解明や治療法開発が開始されている.今後,発生学的知見の進展や他分野との連携により,生体をより正確に模倣したオルガノイドの作製が期待される.
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